こんにちは、おでんです。今回は剣盾GSにおけるマンムーのお話となります。楽しんでいただければ幸いです。
※10/24(日)に冠の雪原1周年を記念してGSの大会を開きます。興味のある方はふるってご参加ください。
これはウリムー。
・考察の背景~ボルトロスが倒せない!
GSルール。冠の雪原解禁後に本格化した研究も、1年間の仲間大会とランクバトル(シリーズ8)により、ある程度形になってきました。このルールでも当然ダイマックスが戦略の中心になるのですが、禁止級でダイマックス適性があるポケモンというのはせいぜい半分程度。強力な全体技や一般枠では実現できない変化技等により、ダイマックスしなくとも(場合によってはしない方が)活躍するポケモンが多いのです。また、常に使用率上位のザシアンがダイマックス不可という事情もあり、一般枠にダイマックスを使うパーティが普及しました。
一般枠のダイマックスエースとしては、全国ダブルでも大人気のフシギバナがまず台頭しました。カイオーガの存在から草タイプは需要があり、更に好相性のグラードンも抱えるためです。そのフシギバナに強い飛行タイプの中でも特に、特性まけんきでガオガエンに強く出られる化身ボルトロスが後に続きました。こちらもカイオーガに強く、しかも弱点となる氷タイプや岩タイプが環境にほとんど存在しない点が後押ししています。ボルトロスはバドレックス黒とザシアンと組み合わされ、この3匹の並びは現在のGSでトップメタの一角を形成するまでになりました。
現在GSのトップメタになっている皆様。
多くの人が、この「黒馬ボルトザシアン」への対抗策を考えました。単純なガオガエン後投げを許さないボルトロスは、初期のいのちのたま型から次第にとつげきチョッキ型の割合を増やし、ダイジェットで味方のバドレックス黒やザシアンを加速して制圧するという使われ方をしています。ダイナックルによる更なる火力アップも可能で、これを対処しようにも隣のバドレックス黒orザシアンの猛攻も凌がねばなりません。今でこそ普及したザシアンのきょじゅうざん+てだすけで確定1発という動きも、ボルトロスの厄介さに手を焼いた多くの人達によって発見されたのです。
ザシアン以外では、高い種族値を持つ物理アタッカーによるいのちのたま+ダイロックorダイアイスも効果的です。中でもメタグロスや霊獣ランドロスは、対ボルトロス性能を買われてサブのダイマックスエースとしての採用が一定数観測されました。こうしてボルトロスの勢いは落ちてきたかと思われましたが、これらはあくまでボルトロスが耐久無振りだった場合の話です。
昨今のボルトロスはよく研究されており、A222+1段階アップしたザシアンのきょじゅうざん+てだすけを耐える調整がなされていると推察されます。実際、ランドロスのダイロックをある程度余裕をもって耐えられる機会が増えていました。以下は、私が試作した調整です。
化身ボルトロス(ようき)@とつげきチョッキ
157(20)-159(188)-106(124)-130(0)-101(4)-168(172)
HB:A222ザシアンの+1てだすけきょじゅうざんを確定耐え
S:最速100族抜き
A:残り
D:余り
HD(参考):非ダイマックス時、C217バドレックス黒のアストラルビットは高めの乱数2
大きく使い勝手を損ねることなく、更なる行動保証を得ることができます。ダイジェットを使われるのと使われないのでは、その後の試合展開に大きく響いてきます。これまでと同じようにはいかないことは明白でした。
こうは上手くいかなくなったわけです。
新型のボルトロスに対抗するには、もはやタイプ一致のダイロックorダイアイスをぶつけるしかありません。となればバドレックス白やホワイトキュレムが候補に挙がるかと思われます。確かにいずれも大火力で、ホワイトキュレムに至ってはいのちのたま込でとつげきチョッキ持ちでも倒せてしまいます。一方でどちらもザシアンに不利であり、しかも禁止級の枠を使ってしまうのが悩みの種。ボルトロス対策は重要ですが、それ以上に脅威となるザシアンに弱くなるのはいただけません。
以上の理由から、特に一般枠の氷タイプや岩タイプの開拓を始めました。その中で、全国ダブル及びシリーズ8、10ルールでそれなりの採用があるマンムーに白羽の矢がたつのでした。
・マンムーのスペック~環境に刺さる要素満載
わざわざ挙げるまでもありませんが...マンムーの種族値は「110-130-80-70-60-80(HABCDS順)」となっています。タイプは「こおり/じめん」、特性は「どんかん/ゆきがくれ/あついしぼう(隠れ特性)」です。
マンムーの特徴としては、まず優秀な攻撃範囲があります。めざめるパワーがなくなったガラルにおいて、氷と地面の組み合わせは唯一無二。強いポケモンで固めると氷の一環ができやすいのはよくある話ですが、これはGSでも例外ではありません。ダイジェット役として名高いボルトロスやイベルタル、カイオーガ対策の草タイプの皆さん、競合の地面タイプである霊獣ランドロスやグラードン等々。しかも一致地面技も扱えるため、氷タイプの天敵ザシアンとも(上さえ取れれば)やり合える点は見逃せません。
次に特性についてです。7世代までは専らあついしぼうがメジャーでしたが、いかく耐性を追加されたどんかんが8世代のダブルではメジャーとなっています。伝説戦では相変わらずガオガエンが高い使用率で推移しており、仮想敵を攻撃する際に隣から繰り出されて倒しきれない、という事態を防ぐことができます。上記のタイプと合わさり、相手のいかく要員の選出を大きく牽制できるのは魅力と言えるでしょう。
最後に種族値について。高いAと物理耐久で、仮想敵のボルトロスとの殴り合いでは一方的に有利となります。また、Sは激戦区の90族に1歩劣りますが、自在な展開を可能にする実数値112-115に十分届く値です。特殊耐久こそ控えめですが、比較的努力値に余裕があることとダイアースのD上昇により、等倍相手には最低限の打ち合いが可能です。
以上の点から、剣盾GSにおけるマンムーは「ボルトロスが強い環境に刺さる広範囲アタッカーであり、いかく耐性や多様なS操作に対応することから安定した戦果を期待できる」と評価することができます。特にダイマックスした際の止めにくさは際立っており、メインは難しいですがサブのダイマックスエースとしての働きを期待できるでしょう。
それでは、次はいよいよ具体的な型の提案に入っていきます。
・型について~固い!強い!ちょっと遅い!
マンムー@とけないこおり
185(0)-189(172)-100(0)-81(0)-110(236)-113(100)
いじっぱり、どんかん
つららおとし/10まんばりき/こおりのつぶて/まもる
HB:A167化身ボルトロスのダイナックル(95)→+1ダイジェット(130)をダイマ時確定耐え
A:ダイアイス(130)でH314B106化身ボルトロスを確定1発、ダイアース(130)でH199B140までのザシアンを確定1発
S:準速ガオガエン抜き、+1で最速100族抜き、+2で最速フェローチェ抜き、+3で最速レジエレキ抜き、-2で最遅ガオガエン抜かれ
D:余り全部
黒馬ボルトザシアンに勝つことを念頭に、おいかぜやトリックルームでの運用を想定したダイマックスエース仕様の構成となります。
まず持ち物について。火力アップアイテムがないとボルトロスが落ちないのと、まもるを使いたいのでとつげきチョッキは不採用。いのちのたまととけないこおりの2択になりましたが、ザシアンやガオガエンへの打点は足りていることと持ち物バレを避けるためにとけないこおりにしました。余談ですが、最近のGS仲間大会ではウーラオスの使用率は低迷気味で、まもるの採用価値は高いです。
次に努力値。仮想敵であるてだすけ+きょじゅうざん耐えボルトロスを一撃で倒すことを最優先にしています。これくらい火力に振ると、無振りバドレックス黒をダイアイスであられ圏内に押し込むことができます。バドレックス黒は全国ダブルでのウーラオスのような使い方+トリックルーム要員としてきあいのタスキ採用率が高めで、それを貫通できるのは大きな強みとなります。この2匹の攻撃を耐えるために、最低限のSを確保して残りを全てDに充てています。Sに関してはパーティの兼ね合いもあるため、伸ばす場合はDを削ります(上述の通り112-115の間がオススメ)。
補足をしておくと、物理耐久は素でもそれなりにあること、ザシアンの攻撃は1発で致命傷になることから、振る必要はないと考えています。逆に特殊耐久は振ることで確定数がズレる相手が少なくなく、例えば余った努力値を全てHに振る場合、C167フシギバナ@いのちのたまのキョダイベンタツ(150)で確定1発となりますが、Dに振る場合10/16で耐えられるようになります。
技については、一致技で仮想敵を相手にできるのでシンプルなものに落ち着きました。つららおとしと10まんばりきは確定。他に気になる変化技が少ないのと、ザシアンに狙われやすいポケモンなためまもるも半ば必須。こおりのつぶてはサブウェポンでも良さそうですが、氷と地面の両方を半減以下にできるポケモンがドータクン、ヒートロトム、ウォッシュロトム、モスノウしかいないため、素直に先制技を使うのが無難でしょう。そもそもマンムーは特定の並び(黒馬ボルトザシアン)に対するメタとして注目しており、それらへの遂行能力が最優先されるべきであり、余計な要素を増やさず単純な形にまとめることが肝要であると、私は考えています。
このマンムーは、黒馬ボルトザシアンの定番の並びである「バドレックス黒+ザシアン+ボルトロス+おいかぜ要員(主にエルフーン)+ガオガエン+自由枠」に対し、大きな圧力となります。とはいえ、そのままではザシアンに上から殴られて終わりというのは火を見るより明らか。そこで、最後にマンムーの相方として注目のポケモンを何匹か紹介していきます。
・相性の良いポケモン~多様なS操作を取り入れる!
上述の通り、ザシアンに好き勝手されずに役割を遂行するために、マンムーの隣にはマンムーの行動を保証する能力が求められます。これはこのゆびとまれ等に留まらず、並のザシアンを一撃で倒せることからS操作もこの枠に含まれます。
パッと浮かぶのは定番のおいかぜ。中でも化身トルネロスは電気に圧倒的に強いマンムーと好相性で、逆にマンムーが苦手な草タイプや格闘タイプにトルネロスが圧力をかけられます。トルネロスはちょうはつが使えるため、エルフーンやトルネロス以外の高耐久おいかぜ要員相手にも強く出られる点も優秀です。
もう1つのS操作として、意外にもトリックルームが挙げられます。激戦区の90族よりやや低い80族(フシギバナと同速)なため、思ってるよりは馴染みます。その中でもドータクンはザシアンにそこそこ強いこと、サイドチェンジで急場を凌げること、てっぺき+ボディプレスで自らも火力を出せる点から期待できます。特にてっぺきはマンムーのダイアースを併用することで要塞化を狙えることから、勝ち筋を増やせます(ウーラオス悪の使用率は低いものの、ザシアンのせいなるつるぎは要注意)。
ザシアン意識ならでんじはを採用したオーロンゲや化身ボルトロスはどうか?と思われるかもしれません。ザシアン単体で見れば有力な選択肢なのですが、隣のボルトロスが厄介です。相手ザシアンのSを下げる→相手ボルトロスが先にダイジェット→相手ザシアンがマンムーより速くなる→相手ザシアンきょじゅうざん→マンムーひんしという流れになってしまうため、もう1つS操作の手段が欲しいところ。そこまですると技スペがキツキツになるため、現状はあまり評価していません。これらを採用する場合はヒートロトムや上記のドータクンのように、S操作+攻撃を肩代わりする技をセットで採用し、まもるで透かされた場合まで考慮した構成が重要になるでしょう。
なお、このゆびとまれやいかりのこなについては相手の集中攻撃を耐えられるポケモンが見当たらないことから不適だと考えられます。ザシアン使われる時点でフェアリーはほぼ無理だし、ウルガモスやモジャンボはボルトロスが通ってしまうのが痛い。仮にきあいのタスキで凌いだとしても、少なくともザシアンに1回ダイジェットのS上昇が入ってしまい、上から殴られ続けてしまうという点もいただけません。もしどうしても採用するにしても、トリックルームのようなS上昇すら乗り越えられる技の併用が必須でしょう。ちなみに、トリックルーム+このゆびとまれorいかりのこなを覚えられるポケモンは現在いません(サイドチェンジ+トリックルームは最終進化系だけで59匹います)
ここまでは補助役の話。GSの主役たる禁止級との相性はと言うと、カイオーガとの攻守における補完は優秀です。草の一貫こそあるものの、カイオーガの天敵レジエレキにマンムーが滅法強く、カイオーガの特性あめふらしで炎タイプの前でもマンムーを強気に動かすことができます。逆に相手のカイオーガに強く出られるゼクロム等も良いのではないかと考えています。
・おわりに
以上でひととおり、マンムーのお話でした。
このポケモンに気づいた背景を少し補足すると、ゴリランダーの採用が目に見えて減っていたことが挙げられます。グラススライダーの存在は地面タイプ台頭の妨げになっていたため、ようやく入り込む余地が生まれたなと。
また、GSはタイプ格差がものすごいことになっており、ザシアンに弱い岩タイプと氷タイプはほとんど息をしていません(氷タイプは禁止級なら時々見かけます)。その他格闘、毒、虫、ドラゴンも勢いがなく、開拓の余地があると見込みました。結果的にまた1匹実用的なポケモンを発見できて、満足しています。
もしこれからGSルールを始める時は、このポケモンも候補に入れていただければ幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。
おまけ。先日の仲間大会で1位になった時のマンムー。